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Romance夢紀行

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Archangel's Sun(前編)/ナリーニ・シン あらすじ

2022.11.12 更新

Archangel's Sun【電子書籍】[ Nalini Singh ]
※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、 内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね 。

第1章 失われた記憶のなかで・・・

シャリーンは50年ほど連れ添った伴侶の墓の前で悲しみに沈んでいました。天使は死なないもの。年上で、芸術の師で、ずっと一緒にいられると思っていたのに、ある朝目覚めると彼は冷たくなっていました。確かに年上だったけれど、彼の何倍も生きて元気でいる天使もいて、突然命が断ち切られるというのは、めったにないことなのに。両親は、彼女が75歳のときに眠ることを選択し、彼女をおいて眠ってしまいましたが、眠る場合はいつまでも身体は温かく、眠りが妨げられていないか様子を見に行ったときにも温かいままでした。だから彼の身体が冷たく、顔が青ざめているなっているのをみて眠りではないとわかったのです。彼は世捨て人の芸術家だから、いつか私しか彼のことを思い出す人はいなくなり、彼の彫刻や絵画だけが彼の足跡となるでしょう。

第2章 3500年前

サイエ、リフュージ中をたたき起こす鳴き声をもつ息子を産みました。彼は誰にひるむこともない男に成長するでしょう。一番上の子は私の目と気質を彼が受け継いでいると言っていて、双子は自分たちと同じく戦士になるだろうと言っています。彼の父親は私に欠けている忍耐を持ち合わせていて、よい父親になるでしょう。彼をタイタスと名付けました。
-------第一将軍アヴェリーナから大天使アレクサンダーへの手紙

第3章 ひと月前・・・
彼は自分の名前もわからず、倒れ、羽は重く、むなしくもがいていました。白い肌は青ざめ、目は頭の奥へ引っ込んでしまっているようです。こんなに弱ってしまってどうしたらよいのだ。骨に指の皮が張り付いた腕をとっさにあげると、小さな生き物がその軌道にぶつかり、彼の歯が無意識に沈められていました。気が付くと、死体を彼は投げ捨てていました。ヴァンパイア=エンジェルなど人間のおとぎ話だ。再び彼の本能は別の生き物を捕獲し、今度は多少の肉も摂取し、羽を吐き出した。栄養がとれたことを本能は理解し、彼の中で蠢く汚らしい緑のものを大人しくさせられる。栄養を取らねば。

第4章 現在
シャリーンはモロッコのルーミアの手すりのないバルコニーから、現地の人や天使やヴァンパイアたちが忙しく行きかう街の様子を眺め、時折住人たちから笑顔を向けられたリ、挨拶されたりすることをとても嬉しく思っていました。以前の責任者はゆがんでいて、彼女が来た時には、天使が恐れられる存在だったことを考えると達成感を感じます。

ラファエルから送られてきたヴァンパイアのトレースが、手紙を持って現れました。若者よ、と呼びかけると立派な成人の彼は嫌な顔ですが、古老のシャリーンからみると彼の若さは子供にしか見えません。母親代わりに育てた息子同然の存在としてではなく、大天使としての立場からの手紙は不吉な予感をシャリーンに呼び起こします。

シャリーンと仲の良い大天使キャリエーンはアイガイオンについて、本当にあの男を軽蔑する、あなたが心の中で一番恐れていた事態を自分自身で再現させた男は卑劣よ、絶対に自分を責めてはダメ、とシャリーンに言ってくれ、彼女もそういう風に考えるのはやめようと思っていますが、夫は突然死、両親もほどなくして眠りから覚めぬまま安置所へ訪問すると亡くなっていました。自分を愛してくれる人はいつも自分を置いていってしまう、自分のせいではないかとつい考えてしまいます。驚くことに、素晴らしい息子は、心にヒビの入ってしまった私でも愛してくれています。

リージャンとの戦争は1か月ほど前に終結しましたが、まだ復興の真っ最中で、誰もが忙しく過ごしています。草原で血を流して倒れていたラファエルを見つけ、抱きしめたのはシャリーンで、彼のことを見守ってきました。そして現実と心のなかに壁があったこの長い間、彼女の息子と、彼女の息子同然の弟子アオドハンふたりを守ってくれたのはラファエル、彼は彼女が裏切らないということをわかっていて、彼女が尋ねたことは隠し立てなく答えてくれていました。力強く、輝かしい彼が、彼女がそうであってくれたらと願った伴侶以上の伴侶を得て、愛されているとわかっていることも、シャリーンを幸せな気分にしてくれます。

タイタスの領土のアフリカは、リボーンの感染被害状況が一番大きく、ラファエルやアレクサンダーなど他の大天使が協力しても、彼自身の負担は大変なもののようで、他の地域からサポートのため派遣された人員を次々と追い返しているようです。ラファエルからシャリーンへの依頼は、タイタスと一緒に仕事をしてほしいということでした。NYは被害が大きく、ヴァンパイアのブラッドラストが酷いためラファエル自身や有力な部下たちが持ち場を離れることはできず、母キャリエーンから昔イリウムについて言われて気付いたこともあったようです。イリウムのあのスピードは誰から受け継いだものなのか。ハミングバード、という仇名はラーンが彼女の飛ぶ姿を評してつけてくれたもののようです。シャリーンも、粉々になっていた心と記憶が改善してきて、ルーミアに来て仕事に励むうちに、元の自分自身に戻ってきた実感があり、ラファエルの依頼を引き受けます。

第5章 タイタスはタナエ(※タナエは、ラファエルのセブンのひとりで戦闘隊長ガレンの母)や部下たちとリボーンの掃討作戦中で血まみれです。「ハミングバードだと!」タイタスは彼女を個人的に知らず、彼女の芸術家としての才能と、敵が一人もいないという彼女の優しさ、そして彼のお気に入りのイリウムの母であるということくらいしか知りません。タナエは、目下の状況を考えれば、彼女は戦士ではありませんし、丁寧に拒絶すればカードレの理解を得られるのではとコメントしますが、彼女以外に来る奴はいない、今までの奴らを脅し過ぎたとタイタスがぼやきます。リボーンの首を切り落としながら、だからそう申し上げたのに、とタナエに言われます。お前には俺への尊敬の念がないと責めると、私には別の宮廷から3つ引き抜きの申し出がありますがと切り返されます。ふとタナエの夫でタイタスの副官であるツァディクは、彼女の刃のような舌とどう付き合っているのだろうと思います、男なら少しは恋人に優しさを望むものでは。とはいえタイタス自身は、肉体の喜びはともかく、優しく、繊細な生き物は求めていませんでした。タナエは、ルミアでのハミングバードの統治の手腕は素晴らしいので、我々に想像できない分野で手腕を期待できるかも。あなたの宮廷はカオスですし。それは剣を持てるものはリボーンと戦い、残りはリボーンを埋める穴を掘り、弱いものたちはセーフヘブンに送ってあるからだ!とタイタスは抗弁するものの、数千人の戦士を戦闘中に失い、信用できないカリセムノンの残兵の扱いもあり、彼女を受け入れるしかないかと思います。この惨状を知っているラファエルが、どうして芸術家などを送り込んできたのか、がっかりする気持ちもあるものの、他の大天使にも選択肢がなかったのだろう。

タナエは、物事のよい面をみなさい、とお姉さまもおっしゃっていましたと言いだし、タイタスは近くのかたいものに頭を打ち付けたい気分になりました。どうして俺には4人の生きて活動中の姉がいて、自分の務めは弟に助言することだと考えているのだろう、俺はそんなに恐ろしくないのか、と言うとタナエはそっと、私がもし戦場であなたに反逆すれば私の首を斬り飛ばすかもしれませんが、私以外の女性で、女性であるということが第一にくる存在であれば、あなたは彼女を傷つけることはできないでしょうね、全世界の女性はそれを知っているんですよと教えてあげます。彼がたとえ4000歳だとしても、他の大天使を倒したばかりの大天使だとしても、リボーン対策の戦略を指示してくる姉にうんざりして、タイタスはアレキサンダー自身に文句をいったものの、戦士の姉たちは5分と黙っておらず、負けるということを知らない二人のようです。

カリセムノンは同盟者のそぶりで密かにお互いの領土に接している国境から感染者を侵入させ、タイタスの領民へ感染を広げていました。お互いの領土の交易の拠点となっていたスペインの都市ネルハの状況は、タイタス、ラファエル、アレキサンダー3人の強烈なパワーでそこからの脅威を押しとどめないとなりませんでした。カリセムノンやネハが何をしたにせよ、アフリカ大陸のリボーンは全世界のどの地域よりも邪悪で猛毒性がありました。

新型リボーンは群れで狩りをし、初歩的な知性も持ち合わせており、日中は洞穴などで陽射しを避けることを学び、夕暮れ時に攻撃をはじめました。またこの地域のリボーンによって殺された者は100%リボーンとしてよみがえり、ひっかかれたり噛まれたりした場合、50%の確率でリボーンに変化します。前回の大戦後に犠牲者が墓からリボーンとして蘇ってきてしまったため、領民たちは泣きながら家族の遺体を掘り起こし、火葬にされています。

第6章 シャリーンが最初に起こした行動は、ルーミアの街の統治について考えることで、リーダーシップを備えたトレース、タニシア、ファラを呼んで指示を出しました。この中で最年長の天使のタニシアは、あなたが定めたルールを守るためにひるんだりしません。あなたの名誉を汚すようなことはいたしませんと言明します。あなたたちを信じているわと伝えます。

イライジャとキャリエーンは傷を癒すため昏睡状態で、現在活動中の大天使は7人。そのうちのスーインは大天使に昇格したばかりで足元を固めているところ、ネハが1週間前に昏睡から目覚めたところで、大天使たちは普段よりも広い範囲でブラッドラストに陥るヴァンパイアたちに睨みを利かせないとなりません。シャリーンは危険でも支配するタイプでもありませんが、ルーミアでの経験から、天使の飛行隊をふくめ自分には部下のベストを引き出す力があることに気が付きました。飛行隊たちが彼女のためにヴァンパイアたちの手綱をとってくれています。

悲しいことに、ルーミアにはあまりヴァンパイアが多く住んでいないため、数週間程度ならなんとか平和を保てるのではないか、そうでなくてはならないと話し合います。トレースは、ガーディアンの貴女を失うようなことは誰も望んでいません。カードレがあなたの統治に疑問を持つような事態は起こさせないでしょうと言います。

彼女はなぜ優秀な彼らがここに配属されたのか事情は知りませんが、イリウムが彼女の手を取り、「母上、彼らは傷つけられたのです。あなたは痛みを理解しているし、優しい。彼らはそれを必要としています」と言っていました。わたしの息子は振り返るたびに強大な力を持ってきているけれど、時々とても思慮深くなるわ。彼女の瞳にうつるあの子は、いつでも家のドアから無防備に空中に踏み出して、のどから心臓が飛び出しそうになるほど驚かせてくれた赤ちゃんだけど。あのときはまだアイガイオンがよい父親としてそばにいてくれて、崖の下で笑って受け止めてくれた。私には女性としての魅力は感じなくなっていたけれど・・・。

あなたたちが不在の間、しっかりと守ってくれると信じていますよと3人に告げ、視察も兼ねてタイタスの領土まで飛んでいくことを告げます。

シャリーンは身支度を整えると、イリウムが以前渡してくれた電話と呼ばれるものを荷物から取り出します。機械は好きではなく、そのときは使い方を教えようとするイリウムの熱意に負けて、彼を喜ばせようと聞いていただけでしたが、なんとか記憶を呼び起こし、息子に話したいとメールすると、すぐに連絡がきました。

シャリーンはこれはタイタスの領土でも使えるのか教えてもらい、イリウムは母が自分で操作できたことを喜んでくれ、ラファエルやエレナの連絡先も教えてくれました。NYは生き残ったリボーンがいないため比較的よいだろうと言われているようでしたが、戦いの爪痕がひどく、復旧までは大変なようです。また身近な人や家族を失った人も多く、イリウムはビルに腰かけていたり、街を何人かで飛んでいたリージョンたちが見られなくなって寂しいと悼んでいます。イリウムは戦いの最中に翼を失いましたが、いまはほぼ戻ってきているようで、その回復のスピードが彼の能力の高さを感じさせ、シャリーンは恐ろしささえ覚えます。すでにいくつものポストの申し出があり、領土を納めるべきだという声が出始めていることも知っていました。ただ彼とラファエルの絆は深く、まだ準備ができていないとわかっていることが救いですが、シャリーンは千歳でラファエルが進化したときのことを忘れてはいませんでした。彼でさえ苦労していたのに500歳の息子には早すぎる。道中気を付けるんですよ、と息子に命令され、シャリーンは必ず気を付けますと約束します。

第7章 飛び始めてすぐはルーミアの影響下にあり、見える風景に問題はありませんでしたが、しばらくすると廃墟となった村が見えてきました。生き物の気配は全くなく、村の中心は燃料などの缶が多数転がり、何かが燃やされたように黒くなっています。注意しながら地面に降り立ち、見て回ると、奇妙な骨を見つけました。人のものに見えないような、爪が飛び出しているような指で、遺体は焼き過ぎた肉のような状態になっています。シャリーンは電話で写真が撮れるとイリウムが言っていたことを思い出し、タイタスに見せようと苦労して場面を撮影します。

その後他の村では奇妙な骨は見当たりませんでしたが、カリセムノンの昔の部下だった将軍が声をかけてきて、この地域は危険だということとリボーンについて警告してくれます。シャリーンはタイタスへの伝言を預かり、先に進みます。ある荒廃した村にはやせこけた村人たちがいて、シャリーンがあなたたちの状況をタイタスは知っているのと聞くと、この大変な状況で大天使様を煩わせることはできないというため、彼女は心配しなくて大丈夫と援助を約束します。

第8章 アヴェリーナ、息子を誇りに思え、お前の息子はひよっこにもかかわらず大天使にも怖れをみせず決闘を申し込んできたぞ。それなりの年になったら、私の宮廷に必ずよこせ。双子たち同様、戦士の精神にふさわしい戦士に育て上げてみせる。私が正しく振舞えば、彼は我が宮廷につかえたいと思ってくれるだろう。君、双子、そして彼が戦闘時に私の側にいてくれれば、私は幸運であろう。・・・大天使アレクサンダーから第一将軍アヴェリーナへの手紙

第9章 タイタスは、ハミングバードが国境を越えたという連絡を受け、汚れた格好のままで迎えに出ます。ハミングバードは意外にもチュニックにズボン、小さい荷物を背負っただけの姿で、両肩の剣をとめる剣帯を身体にクロスさせた自分の姿に似ていると思います。初めてみた瞬間、彼女を美しいと感じますが、芸術と音楽の化身であるハミングバードと俺の毛布に一緒にくるまりたいと思うことは間違ってる、他の天使たちに怒られると思い、その気持ちを打ち消し、失礼のないように対応しようと思います。イリウムからの情報で数日前に到着するかと思っていましたがとタイタスが問いかけると、途中の村々で状況を観察しながらやってきましたので、遅くなりましたとシャリーンが言います。冷静で明晰な返答から、タイタスは自分の想像していたイメージとは違って、彼女はむしろ自分の配下のスパイの女性に似た印象だと感じます。リボーンの掃討戦に追われているので、どんな情報でも歓迎です、とタイタスは応じますが、内心芸術家の集めてきた情報のなかには価値があるものがあるとは思えないが、たまたま貴重な情報が紛れ込んでいないとも限らないと思っています。

ネルハの城塞は、普段宮廷内を取り仕切っているものたちが弱いものたちに同行していて、リボーンの掃討や穴掘り、整地など各自の受け持ちの仕事をもったスタッフたちが、ハミングバードが来ると知って、二倍働き、心を込めて迎える準備をしてくれていたようです。タイタス自身もどうなっているのか確認できないままでしたが、彼の部屋からほど近くに用意させた彼女の部屋に案内すると、どこから調達してきたのかタイタスにもわからない花瓶に素晴らしく花が生けられ、美しく整えられ、また彼の指示で明るい部屋を絵画室として準備してあるとシャリーンに伝えます。シャリーンは、スタッフが大変な状況のなかで彼女のために準備をしてくれたことを申し訳なく思い、また周囲が彼女に抱くイメージ「繊細さ」を腹立たしく思います。シャリーンはエレナが帰国したときにプレゼントしてくれたナイフを密かに腿に身に着けていて、それで何かを突き刺したくて指がムズムズします。シャリーンがお礼をいいつつ、なんとなく怒りの気配を押し殺しているようにタイタスは感じて、早々に部屋を引きあげます。

彼女は周囲にひた隠しにしていますが、心が散り散りになり万華鏡のなかに彷徨う現象は完治したわけではなく、気を緩めると好きな色や景色などについ没頭してしまいます。彼女も逃避行動だということはわかっていて、用意された絵画室にも強く惹かれますが、誘惑からは出来るだけ遠ざかろうと決意しています。

第10章 クローゼットの中には素敵な衣装が用意されていましたが、シャリーンはチュニックに着替え、手早く身支度を整えると部屋を出ました。タイタスも身綺麗にして出てきて、一緒に食事を取ることになりますが、食事中に女性の軍訓練官タナエが現れ、タイタスにリボーンの襲撃があったことを報告します。彼女にどこか見覚えがある気がして考えていると、とうとうわかりました、ガレンだわ。

用意された食事は素晴らしいもので、更にシャリーンの内心のいらだちは高まりますが、何か月もただ食べるだけの食事を作らされてうんざりしていたコックが本格的な食事が作れると張り切ったらしい、とごちそうを見て大笑いすると、苛立ちは不思議と消えていきました。

第11章 料理をとりわけながら、二人で食事をしていると、埃まみれの戦士が駆け込んできました。「リボーンの群れの襲撃です! バリケードを乗り越えてきます!」次の瞬間、タイタスは飛び出していき、飛行隊や車輛隊も飛び出していきました。残されたシャリーンのそばにはガイド役の若い天使オブレンが現れました。彼は軍隊で一番若いメンバーということで選ばれたようです。飛行隊の後方には危険があるかしら? シャリーンは彼の補佐をするにも実情を知らなければどう助けたらよいのか判断できないけれど、危険を冒したくはないと考えていました。彼は地面に着地すれば、リボーンが天使の身体を引き裂きますが、後方の空中であれば危険はないと思いますと助言します。ただサイエは城塞の中にいるようにということでしたが・・・と言いますが、シャリーンは彼は私の主人じゃないわといい、二人は飛び立ちます。

飛び立つと、埃がもうもうとたっている方向から、オブレンに聞かなくても戦闘の箇所はわかりました。地面に立つタイタスが天使の炎でリボーンたちのいる場所へ炎をぶつけ、乱れたところにさらに別の兵士たちが火炎放射器や天使の炎などでリボーンたちを燃やす作戦のようです。シャリーンたちは後方でみていると、リボーンの一部がバリケードの下にトンネルを掘り進めていることに気付きました。

警備隊が気が付かない間に、バリケードの内側にリボーンに入り込まれてしまう危険をみてとったシャリーンは、オブレンにヴァンパイア隊にリボーンたちが防衛線の内側に入り込む可能性があることを知らせるよう指示し、彼女は卓越した芸術家の目で見まわしていると、動きがある場所を発見しました。そこに戦士の天使が現れ、なにかお手伝い・・・と言いかけたので、あそこにリボーンたちが地面を掘り進んで出現しているわ! と警告すると、即座に警報を発しますが、そちらに回せる武器や戦力がないと言われます。シャリーンは記憶がよみがえってくるのを感じます。手にエネルギーを集めると、リボーンの集まっている場所へ炎を投げつけました。シャリーン様がこのようなことが出来るとは存じ上げませんでした、と言われ、シャリーンは、忘れていたの・・・とつぶやきます。

第12章 大昔
シャリーンは父と一緒に花の咲き乱れる山に遊びに来ていました。パパ、見て! 彼女は手から火をだして岩にぶつけました。父は家に帰ろう、と言います。馬になってくれる友達の父と違ってシャリーンの父は物静かで重ねてきた年を感じさせる人でした。もっと遊んでいたかったけれど、前回言うことをきかないで遊んで帰ったら失望の眼差しでみられたので、しぶしぶ空中へ飛び上がりました。家へ駆けこみ、ママ、今日私、火を出せたのよ!というと母は疲れた顔で、なんども走らないでって言ったでしょう、と微笑みかけてきました。彼女はいつも疲れていました。食後、シャリーンが庭に遊びに出て、両親たちの話が聞こえる場所まで戻ってきます。攻撃的な力がこんなに早く出現するなんて、彼女は戦士になる運命だ、と父がいうと、母は、信じられないわ、あの子はあんなに絵画にのめり込んでいるのに。小さい時期に攻撃的な力が発現しないのには理由がある。友達や周囲を傷つけないためだ、大きくなるまで力を使わないように言い聞かせよう、と父は話していました。母は、もうあなたと娘以外になにも興味を持てないのに、出来るかしら…と言っていて、シャリーンは静かにその場を離れます。目が熱くなるのを感じながら、パパたちは私のことをあんな風に話すべきじゃないのに。自分が大きくなる前にパパたちが眠りについてしまったら、どうしよう。私は一人きりになってしまう。火は使わないようにしよう。世界一、いい子にならなくちゃ。

第13章 タイタスは戦闘中手が離せなかったものの、自分の受け持ち部分ではない箇所へ、リボーンがトンネルを掘っていたらと心配していましたが、危惧していた地域でトンネルが炎でいぶされているのをみつけ、喜びが身体を貫きます。年配の部下のうちの誰に新しいパワーが宿ったのだ? 「ハミングバードです」と部下に言われ、数秒間お互いをまじまじと見つめ合うことになりました。名誉にかけて本当です。ご本人も私同様驚いていらっしゃるようでしたが。タイタスは、思っていたより使える人材をカードレは送りこんできたのかもしれないと思います。

部下を集めると、今日は人的被害はなかったものの、領民に、なにか奇妙な音があれば、すぐに知らせるように、誤報は仕様がない、犠牲が出てからでは遅いからと指示を出します。解散させると、ハミングバードに君の新しい力について報告してくれ、というとそんなことより大事なことを知りたいの。これを見て頂戴といって携帯を取り出します。大天使の権威に盾突かれ、むっとしますが、表示された映像が目に入り、思わず彼女の手首をつかんで見入ります。もう一度見せてくれ、というと両手を使わないとできません、と言われて慌てて離します。許可も得ないで女性の身体に触れてしまった。シャリーンは気にせずに、操作をしますが、それをみて迷子の仔犬の仕業を見逃されているような気分になり、面白くありません。再度みると、やはり黒焦げになったリボーンの死体の指が動いていました。ここまでやっても動く能力が残るのか、これは現状を確認する必要があるとタイタスは判断します。正確な場所はわからず、シャリーンが案内します、私は戦力に組み込まれていないし、この情勢で大天使が一人で遠出するのはリスクが高いと言い、タイタスもシャリーンが一緒だとスピードが鈍ると一度は渋りますが、シャリーンの意見に賛成し、4時間後に出発することにします。

カリセムノンの旧領土を二人で飛んでいると、リボーンの感染被害と、働き手の村人の多くがカリセムノンの領土では戦争に駆り出されたことで、飢えと荒廃が広がっていました。急いでラファエルのもとに駆けつけるため、カリセムノンはすぐ殺したが、こんなことなら拷問して、リボーンの秘密を吐かせるなり、なぜこんなことをしたのか、痛めつけてやりたかったとタイタスは思います。

そういえばハミングバードは何歳なんだろう? 確か、古天使キャリエーンと同年代だったはず。そうであれば、通常は経てきた年月が身体からにじみでているものなのに、全く感じられない。彼女の存在は素晴らしい。大丈夫か?と聞くと、あなたは声をどうかしたの?とシャリーンにからかわれます。むっとしたタイタスが俺は大天使だぞ! と怒鳴ると、おっしゃる通りですとシャリーンはお辞儀して受け流します。まるで小さい子が母親に頭をポンポンとされているような気持にさせられ、昔に戻った気分で、訓練生のころに教えられたように、一歩引き下がりました。この敵は一筋縄ではいかないやつだ。勝つためには狡猾に密かに行動せねば。

第14章 サイエ、春になって100歳の誕生日を迎えたら、あなたの宮廷へ向かいます。戦士として受け入れていただき、ありがとうございます。母がお仕えしていることもあって自分にお声がけいただいたと思いますが、今後仕事に励み、第一将軍の息子としてではなく、タイタス個人として頼りにされるよう頑張ります。・・・タイタスから大天使アレクサンダーへの手紙

第15章 シャリーンは出発前に台所へ行き、コックに食事のお礼を言い、携帯食をもらって、準備が完了しました。タイタスは出発後も言葉少なです。シャリーンが彼について知っていることはイリウムやルーミアで彼を知っている人から聞いたことばかりで、彼は領民に愛されています、彼は女性に愛されています、彼は正義と名誉を重んじる男です。彼は戦士で敵には容赦ありません。彼は学究肌ではなく、彼の宮廷も勉学を奨励する雰囲気はありません、これについては彼女は彼の宮廷付き学者戦士への態度や、通りがかりの図書館の様子をみて、事実とは違うことがわかっていました。彼女からみて男性としての魅力は・・・これまでのところ彼が大天使だという点しか見当たらず、彼が魅力的だとみんなにため息をつかれている理由がぴんとこなくて鼻を鳴らすシャリーンでした。

隣にいたタイタスは、鼻をならしたように思えるが、まさか繊細でデリケートすぎる生き物がそんなことをするわけはないだろうな。しかし何を考えているんだろう。むかし学んだ知恵から、彼女のことはそっとしておくことにし、あたりの景色に気持ちを切り替えますが、荒廃した様子に胸が破れそうな気持ちになりました。

第16章 タイタスは自分が領民を虐待するようなことはあり得ないため、まさかカリセムノンが不当な扱いをしているとは考えもつかず、結果的に目配りが行き届かず、カリセムノンの元領民たちがひどい環境に置かれることになってしまったことにシャリーンの指摘で気が付きました。俺は領民のことを虐待するなど考えもつかない! と怒鳴りつけますが、シャリーンはしばらく黙った後お辞儀をし、あなたは名誉ある方かもしれません。ただ現実には、良心の呵責なく一線を越える敵はいるのです、そのことは忘れないようにしないとなりませんと言います。

ハミングバードがつむじ曲がりだと、どうして誰も俺に教えてくれなかったのだ。噂とは正反対ではないか。タイタスは村に着地すると、村人に事情を聞きます。何か所か燃えた家があるのは、リボーンに感染してしまったものが帰ってきて、感染を広げようとしたため、ある者が囮になり、一か所の家にリボーンを集め、扉に鍵を外からかけて、燃やしました。その作戦が上手くいきましたので、攻められるたびにその方法をとりました。囮役は年老いたものから順に請け負っていて、次は私の番です、と説明していた老人が話しました。タイタスがこの村では子供が見当たらないことに気付きます。
第17章 私はおまえたちの大天使だ。私からこどもを隠す必要はない、と胸の奥から声をしぼりだして伝えます。「黙って、わたしがやるわ」とシャリーンが彼にだけ聞こえる声で言い、タイタスは内心仰天します。わたしたちは長旅の途中なの。お水と少しだけ休む場所を貸していただけないかしら? 大天使に隠し事ができないって知っているでしょう。正直に言ってくれるのが一番なのと声をかけます。震える手で大人の一人が家のドアを開けると、子供たちが何人か出てきました。

天使をみると喜ぶはずの子供が恐怖を表情をみせ、タイタスはどうしてよいかわからずシャリーンをみます。彼女は、しゃがみこみ、私の息子の小さいころを思い出すわと話します。毎日が冒険につぐ冒険で、いつも膝やほっぺたに泥をつけていたの。彼女はその場に座りこむと、荷物から携帯食を取り出し子供たちに差し出します。彼女のおはなしと愛情のこもった暖かい声に魅了され、子供たちにも笑顔がでてきて、2歳くらいにみえる女の子はしまいには彼女の膝にのっていました。彼女の魔法をみて、タイタスは自分も大人たちに同じようにできたらと思います。

第18章 タイタスはシャリーンも大人たちとの話が聞こえるよう、彼の心話の回路を解放します。村のリーダーから話をききたいというと、村人たちが青ざめ、若いものが話していた老人をかばおうと緊張して身体を寄せています。シャリーンが、心話で「お茶を飲みたいと言うのよ」と指示してくるので、俺は茶なんぞ飲まない、そんなことを言ったらおかしくなったのかと思われると反論すると、それならエールを頼むのよ、と言われ、指示すると村人たちの緊張が解けます。早速、エールと席が用意されます。

リボーン以前は、大天使様にお収めする10分の一税をお支払いしても、村は潤っていましたと老人が話すと、タイタスは天使は十分な財があるのに、カリセムノンは人間が差し出す10分の一税を搾取していたのかと驚き、あきれます。私には上納の必要はない、と伝えます。3度の襲撃で、リボーンに変化はみられたか、というタイタスの質問には、果物が傷んで変色していくように、肌の色が黒ずんでいったこと、最初は単体での攻撃だったのに、次第に群れとして攻撃してくるようになったこと、また身の回りの動物もヤギなどにはリボーンに傷つけられ感染が見られたものの、鶏への感染はなかったことを話してくれます。

村人から最後の質問として、10分の一税として若い娘を何人差し出せばよろしいでしょうかと緊張の面持ちで聞かれ、タイタスは激怒しますが、シャリーンが怒りを村人にぶつけてはダメ、と心話で助言されます。彼女の口調にカチンときて、俺は大天使だぞ!というと私は大天使と息子を成しましたから、大天使も普通の天使とかわらないと知っていますとシャリーンは応えます。俺はアイガイオンとは違う、とタイタスは思います。イリウムは覚えていないだろうが、彼が幼いころリフュージで「タイタス、タイタス! みて、上手に飛べるよ!」とアイガイオンの領土から彼の領域にやってきたことがありました。小さい彼の根性と勇気をタイタスは楽しみ、アイガイオンはこんな息子をもって幸運だと思ったのに、そんな存在を見捨てるとはどんな男だ? 強く勇敢な小さな心を打ち砕くとは。そんな男と俺を一緒にしてほしくない。

内心でシャリーンの大天使への不敬の罪をリストに書き加え、私の元にはたくさんの女性が待っていて、若い女の子は必要とされていない。自分の意志で宮廷で働きたいと思うものがいれば、首都に来るがよい、と話すと、村人は嬉し涙をながし地面の跪いて感謝します。タイタスは彼の肩をつかみ、エールを酌み交わした仲でそのようなことをする必要はない、そなたはあごひげが白くなるほど長く生き、英知を学んできたのだからと助け起こします。シャリーンもその長い人生で、どのようなことを学んできたのだろうか、そしてどんな痛みを抱えているのだろうかとタイタスは思います。そのときシャリーンが寄ってきて彼のそばに立ちましたが、そのときに浮かんでいた表情はタイタスに理解できないものでしたが、あとで二人きりになったら聞いてみようと思います。

先を急ぐ二人はすぐに飛び立ちますが、なぜそんな顔をしているのだとタイタスが聞くと、ある事柄については理解が深いことに驚いてとシャリーンが言います。どの程度を意図しているかはともかく、かつて言われたことのない強力な皮肉でした。過酷な大天使の元にいたのは彼らの判断ではないかというと、人間にとって天使さえも遠い存在で、大天使といえば雲の上の存在すぎて違いも意識していないはず。違う地域へ行けばもっと良い生活が待っているかどうか、彼らには判断できないとシャリーンが言います。古天使であるそなたにとっても人間は遠い存在なのではというと、ルーミアに行く前の私はそうだったかもしれません。でも彼らのそばで生活し、それぞれと付き合ってみて、学んだのですと話します。タイタスに厳しく対応しすぎていることにシャリーンも気づいていましたが、そうでないと彼の素敵な笑顔に惹かれてしまいそうな気がして。彼女に一番必要のないことは彼と恋に落ちること。

第19章 そなたの息子は、山登りで私を打ち負かしたぞ! 百年過ぎるごとに若者らしさが抜け、いまや彼は友といえる存在だ。私を信頼し、彼を預けてくれて感謝する。いずれ彼は広い世界を知るため、私の元を離れるだろうが、いつでも私のところには彼の居場所がある。この年になって若い友人ができるとは。娘のところでの滞在を楽しんでくれ。コンサートの借りがひとつあると娘に伝えておいてくれ。・・・大天使アレクサンダーから第一将軍アヴェリーナへの手紙

第20章 あなたはアイガイオンと仲たがいの理由があるの?とシャリーンが聞くと、俺には4人の姉がいて、そのうちの一人チャロがアイガイオンに遊ばれて深く傷ついたと話します。タイタスは裏表がなく、愛するものを献身的に守る人で、アイガイオンとの共通点は大天使だということだけ。彼は私にとって想像していたよりずっと危険だわ。アイガイオンは私も傷つけたの、とシャリーンがいうと、タイタスはみんな君が彼に傷つけられて心を失ったと話していたが、私にとって不運なことに、君は私の世界ではしっかりと現実にとどまっているようだと言い、シャリーンは笑います。

私は彼に捨てられたから砕けてしまったんではないの、私には全身全霊で愛している息子がいたから。イリウムは私の生きるすべてよ。だから何だ? シャリーンはなんであなたは私に質問する権利があると思うの?というと、聞かないとわかりようがない、別に君の脚をもって焚火の上にさらしているわけではあるまいし。というのがタイタスの答えで、シャリーンは大笑いします。この時間は母子の時間とは違った大人の楽しさ、完全な自分らしさを久しぶりに取り戻したかんじのするものでした。ドッペルゲンガーだ、それ以外説明がつかない、とタイタスが言い、さらにシャリーンは笑って、涙をぬぐいました。

私が砕けてしまったことは、私自身の人生とは切り離せないの。成人して10年ほどで数千歳年上のラーンと恋に落ちたの。50年ほど幸せに暮らしていたんだけれど、彼は亡くなった。戦いで?とタイタスが聞き、ある朝目覚めたら、私の隣で冷たくなっていたわ。長命の天使にとって受け入れにくい事柄で、長い間タイタスは黙りこみ飛んでいました。ラーンや彼女の両親の死は、天使にとって悪夢の出来事です。どう考えればいいのかわからない、とタイタスが言い、シャリーンは彼の正直さを好ましく思いました。

私自身も受け止めるまで時間がかかったわ。理由はそれだけではないの、聞きたい? タイタスがすべて聞きたいと言います。両親は私が85歳のときに眠りについて、と言いかけると「なんだって? 両親は子供が幼いのに眠りについたのか?」わたしは幼いというほどではなかった、子供ではあったけれど。でもこれはメインの話ではないの。彼らが起きるときは、私が近くにいない時にしてくれ。彼らを怒りで吹き飛ばしてしまうかもしれないからとタイタスが言うと、彼らは亡くなったわ、200歳のときに彼らの様子を見に行ったら、骨になっていて遺体は塵になっていたのとシャリーンが言います。

タイタスは彼女の顔を見つめ、想像もつかない彼女の喪失を思います。眠りについている私の母がそうなっていたら、心が張り裂けるだろうというと、シャリーンは私の心は壊れてしまったわ。アイガイオンが君の息子を捨てたことで、君の喪失を思い出させてしまったのか? 死というものが私の一番の恐怖なの。特に自分の愛する存在が静かに、理由もなく消えてしまうことが。あいつは君のベッドで眠りに次いだんだな、タイタスは名前の付けられない怒りが沸き上がってきました。彼の身体は数名の腹心によって秘密の墓所へ運び出されていったけど、私の愛する者は死んでしまう、という考えが頭の中でグルグルまわって、部屋の隅で泣いていたけれど、我に返って一番最初にしたことはイリウムを見に行くことだった。混乱していて彼が親友の家に遊びに行ったことを忘れていて、空のベッドを見た途端、遺体を誰かに運ばれていってしまったと思い、息子が死んだと思い込んでしまったの。

俺は長くアイガイオンを役立たずだと思ってきたが、彼の残虐性の根深さを知ったよ。それに腹心が知っていたということは、計画していたということだとタイタスは思います。シャリーンは、なぜ彼がそうしたのかわからないけれど、今度会ったら彼の目を抉り出さないでいられたら、聞いてみるわ。目だけじゃなく、顔もやったらいい、顔で怒りを消したらいいさというと、シャリーンが笑い出し、タイタスは以前も美しいと思っていたが、鋭い舌を持ち黄金の笑い声をもつシャリーンは比類ないと思います。

君はみんなをどうやって騙しおおせてきたんだ、君は毎晩部屋に座ってゲームでもしていたんじゃなかったのか、とタイタスが言うと、シャリーンは彼が彼女自身を見て、普通に扱ってくれ、喧嘩を吹っかけてていることがわかり、嬉しく思います。彼女は彼との舌戦を楽しんでいました。あなたは夜、部屋に座ってどんな言葉で女性を足元にひれ伏せさせようかと考えているに違いないわ。まつげをはためかせると、ぜひ私に試してみて。受け止めてみせるから。とやり返すと、君は姉たちに送り込まれたに違いない。個別に拷問できないから、代理人を送り込んだなとすごい目つきで睨みつけてきます。彼女は足元の動きをみて血が凍る思いがしました。「タイタス」

第21章 タイタスは一瞬で気持ちを切り替え、シャリーンには着地しないよう命じて、鞘から剣を抜きます。何人ものリボーンがいましたが、これ以上荒れた大地を痛めないよう、首を切り落としていきます。台地での戦闘では、弱点は翼のため、囲まれそうになると飛んで距離をとり、また切りつけます。シャリーンは戦況を見守り、後ろ! 右側! と危ういときに声をかけます。タイタスが振り向くとリボーンの左目にナイフが突き刺さっていました。戦闘が終わると、シャリーンは率先して遺体をあつめ、火をかけます。タイタスが彼女を見ていると、彼女のパワーが手に集まっていることに気付きます。自然と彼女の手についた血が浄化されていき、彼女自身も自分の力がどう働くかわからないなんてと苛立った様子です。自分にも試してみてくれとタイタスが手を差し出すと、彼の身体についた血も浄化されます。衣類にはなんど試しても効果がないようでした。リボーンの血は乾くと酷い匂いになるため、タイタスは剣帯を外すと、チュニックを脱いで火に投げ込みます。シャリーンにも、チュニックの下に何か着ているなら、燃やした方がいいとすすめ、シャリーンは躊躇いますが、脱いで燃やします。

タイタスは美しく、彼女の口は乾きました。彼女自身の肉体の反応に驚いて、彼に気付かれないよう、視線を逸らします。彼女にはイリウム、アオドハン、ラファエルがいて、抱きしめてくれる腕がそばにあり、肉体的欲求の必要性を感じたことがありませんでした。

第22章 心配してくれてありがとう、ティト。私は大丈夫。アイガイオンはあなたが怪我をする価値のない男よ。第一将軍アヴェリーナの娘 チャロより 第一将軍アヴェリーナの息子タイタスへ


後編
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